ヨガのクラスで、「インストラクターさんの説明しているカラダが動きがよく理解できずついていけない」、また「説明してもなかなか生徒さんにカラダの動きを理解してもらえない」、しばしばそんな経験はありませんか。
説明にカラダがついていけない理由の一つとして、「カラダが理解できる言葉は、アタマで使っている言葉と同じではない」ということがあります。
ストレスなく身体を動かすためには、カラダが反射的・自動的に理解しやすい言葉を使ってあげることが大切です。
身体は、人間が自分で意識して脳から指令して動く以外に、外界からの刺激に反応したり、恒常性を維持するための反射や自動的に、無意識に動いている部分が9割以上を占めていると言われています。
例えば内臓(胃、腸、心臓など)の動きは自分で基本的には止められませんが、これは、自律神経に支配されていて人が意識しなくても、自動的に、外部の情報に反応してくれています。体温が平常に保たれたり、胃が必要な時に活発化するのはこのためです。
また「脊髄反射」という言葉があるように、反射的な体の動きは、人間の言語をつかさどる大脳の指令より早く身体を自動的に反応させることがわかっています。
発生学的には、このような反射的な身体の動きと生命活動を維持するための動きを助ける脳の部分(脳幹部、脳梁、正能、視床下部など)は、言葉をつかさどる大脳新皮質より古い時代にできていると言われています。
つまりより古い時代の言語で指令を理解しているカラダがうまく動くようにするには、身体が理解するシンプルな言葉を使ってあげることが必要なのです。
では、カラダが理解しやすい言葉とは何か?3つのシンプルなルールに従うことが大切です。
1.Yes plan(肯定形の文章)を使うこと
身体は非定型を理解しないので、「左に向かないで!」などの非定型文を聞くと、まず左を向くことから考えて、それからどうするか迷い、ストレスを感じる傾向があります。「右を向いて!」などの肯定形で常に伝えてあげると、より身体が早く理解して動くことができるのです。よく使いがちな「肩に力を入れないで」も「肩の力を抜いて!」の方が具体的に何をしたらいいかがよく伝わります。
2.動詞で伝えること(副詞、形容詞は理解されない)
身体は、副詞や形容詞で表現されることに対して、反射的に何をすればいいかわからないため、反応できないのです。
だから、「ゆっくり動いて」とか「頑張って足をあげる」などの表現は、基本的には効果的ではありません。
むしろ、「空に向かって手を伸ばしていく」「床を足の裏全体で踏みしめる」などの具体的なアクションを含む表現がわかりやすいです。
3.シンプルな言葉を選ぶこと。
カラダというのは、常に脳からのdirection(指令)を受けて動きつづけています。そこに脳からの明確な指令が身体に伝わらない、言葉が理解できないと身体が固まる、そしてストレスを感じることになります。
だから、生徒さんにリラックスして動いてもらうには、なるべくシンプルな言葉を使うことです。
言葉の理解は人によって異なるので、グループ・レッスンなどでは言葉を選ぶのは難しい場合もありますが、知っておくといいことだと思います。
さてもっと具体的にどんな風に「伝えること」をしていくかは、続きをお楽しみに♪
2013
16Aug