よくスタジオで耳にする「肩を下げる」ということが、ヨガのアーサナの本質ではないのではないか、現れている現象とやらせたいことが違うのではないか、ということをお話してきました。
でも、そもそも、このような誤解や指導が生まれる背景には、「肩」という考え方にあるのではないか、と思っています。
(肩凝りNO1:僧帽筋図 より)
カラダを上手に効率的に動かすには、正確なボディ・マップを持つことが大切ですが、自分のカラダや動きに関して、人は色々な誤解をしているものです。
例えば、動きの解剖学的に考えた時に「肩」というのはどこを指すのでしょうか?!
よく、「肩が凝る」「肩を下げる」と、ごく普通にそう言いますが、実は「肩」っていう「もの」は存在しません。
というのは、肩関節の周りには、色々な方向に腕や首を動かせるように、筋肉がついているわけですが、「骨」としては存在しないのです。
なんだか首のあたりのような、腕の上のような、そんな曖昧な場所を「肩」といいます。
実際には、それは首であり腕でもあります。
緊張したまま腕を上げると一緒に上がる場所、肩が凝ると痛くなる場所→
そこは表層では腕の筋肉です。もっと深層では首/背骨の筋肉です。
左の絵を見れば分かりますが、ちょうどいわゆる「肩」ポイントをカバーするように大きな赤い筋肉がいくつもありますね。
これは腕の筋肉ですが、頭にも付着するし、背骨にも付いています。「肩」は腕なのです。そして、頭や背骨とも関係しています。
同じ場所のもっと深くでは、首の骨(脊椎/背骨)や頭の動きを調整する筋肉があります。このあたりは、「首」と言えるでしょう。
結局、肩という実体はないのですね。
それなら、「肩を下げる」と言ってもなかなか解決策が見つからないのは無理ありません。肩自体がないのですから。実際には腕だったり首だったりするのです。
「肩」っていう明確な場所って、動きの解剖学的には「ない」と言ってもいいと思います。
お洋服の肩の部分が切れ目になっていたり、袖がついていたりむしろファッション用語、お洋服の都合として「肩」というものが、動きのカラダのマッピングとは別に普及してしまっていると言ってもいいかも知れません。
理解すべきことは、「肩」は正確な言葉ではないということです。
肩を体の特定の部分であると考えていると、ついつい、「腕を持ちあげるときに肩は下げておこう」というようなことを考えがちです。 またはそういう指示を出すことにもなります。
実際には「腕を自由に使えるようにしたい」、ということが「肩を下げなさい」という指示になっていたりするのです。
では、腕を自由に使うコツとは?次回お届けいたします!
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2013
17Nov