
(Anatomy in Motionより)

ゴルフや武道などでいう体軸、一本のまっすぐな棒をイメージしていませんか。
人間は静止しているように見える時でも、呼吸、心臓や内臓の働きで動いています。
ぞして、動きに合わせた緩やかな軸使いの微調整は、生きている限り自然に働くようにできています。
だから、体軸も固定された一本の棒というより、重力とバランスの関係で、「ゆらぎ」ながらしなるもの、と考えられます。
この常の動いている身体の微調整はどこでどんな風に指令して行っているのでしょうか。
調整機能は、頭蓋骨の後ろと、頸椎(首の骨)の一番上をツナいでいる細かい筋肉群のあたりにあります。(後頭下筋群と言います。)
ここがキャッチした情報(例えば姿勢が傾いている、バランスが崩れた、など)が脳に送られて、自然にバランスを取ることができるようになっています。
脊椎動物がみんな持っているこの、全身のバランスをすべてまとめ調整する脳の機能を、アレクサンダー・テクニークの専門用語では、「プライマリー・コントロール」と呼んでいます。
ヨガやゴルフ、テニスなどのスポーツのように大きく動く場合は、この自然なバランス、「動き」の微調整をする働きを邪魔しないことが、パフォーマンスを上げる基本です。(これがF.Mアレクサンダー氏の発見です。)
例えば猫を空中に放り投げたりすると、まず頭からくるっと回って、背骨胴体がついてくるようにまわりながら、四肢が回転してちゃんと着地することができます。
ところが動物や人間には、恐怖やストレスを感じた際に、頭と首(特に後ろ側の部分)を固める習慣があって、そういった状態がおこると、センサーが上手く働かなくなるのです。
ヨガやスポーツの動きでは、体軸を効率的に使うことでパフォーマンスを上げると言われていますが、上手く使う方法は、まず自然の調整機能が働いてあげるようにすることなのです。
つまり、リラックスした安全な状態で、この頭の後ろ部分を使う、
「頭がまず自由に動くことができて、更に身体全体がそれについていく」
というプライマリー・コントロールの機能を邪魔しない、センサーを上手く働かせることが大切なのですね。
頭や首を固めず、自由に動けるくらいにしておく、、ということで背骨部分や体軸も結局上手に自然に使えるのです。
次回は、体軸をうまく使うための脳からの指令について、お楽しみに♪