ヨガの世界では、
先生が生徒さんのアーサナ(ポーズ)を手や言葉で補正することを
「アジャスト」と言いますが、
上手にポイントを捉えて身体に働きかけることは
指導者の大切な技術だと思います。
でも、なかなか、生徒さんに伝わらない、
どんなふうに身体に触れたらいいか迷う、ことはありませんか?!
短い時間で手で身体の動かし方を伝えるコツを
石井ゆりこさんの本を参考にまとめてみました。
本人の「動く」意志を尊重する
アジャストの際、つい力を込めて、
指導する側の考え方で手を使うことがありますが、
動く必要があって主体となっているのは本人です。
物体を動かすようにしてしまうと、
「動きたい」という意思を阻害してしまうことがあり、
仕事をたいへんにしてしまっていることが多いです。
本人の「動きたい」という気持ち、意志に沿って
一緒に動くと、お互い、無理な動き、強引な動きが必要なくなり、
効率の良い指導、アジャストができます。
動きをさきまわりしたくなりますが、時に待つことも大切です。
相手の緊張を解く
動きに困難がある人は、動く時に頑張ろうとして
身構えていることが多く、それをやめるだけで、
アーサナは取りやすくなるのです。
相手に寄り添うつもりで声をかけ、
丁寧に接し、時に違う話題で少し気を緩めてもらうことが、
アーサナを取りやすくします。
相手の抵抗や緊張を解くことがなにより先に必要な
ことであることは覚えておきましょう。
全体を見る
相手にアプローチしてみる前に、
自分だったらどう動くだろう、
と想定してみること(動きのプランを明確にすること)や、
生徒さんの状態を全体をとらえて、
部分を見る習慣をつけることも大切です。
つい「ダウンドッグで腰が曲がったままである」
など部分だけに入りやすいですが、
どんな風にアーサナに入っていったかも含め、
全体から見てあげることが、ポーズ修正の鍵になります。
首、肩が緊張していてカラダ全体を意識できていなかったり、
手を床に着く時の不必要な筋肉の緊張が、
アーサナを阻害しているようなこともあります。
「しなくていい」ことを見つける
現代人は実はやり過ぎなことが多いです。
上手くいかないアーサナの何が足りないか、
筋力などを考えるより、
「何をしなくていいか」「何が邪魔をしているか」を見つけ、
生徒さんに知ってもらうこと、あえて「しないこと」をお願いすると、
自然とアーサナが改善します。
肩や首に余計な力が入ってませんか?
手や足の指、背中に余計な緊張がありませんか?
生徒さんの動きを観察していると、
「しなくていいこと」がきっと見えてきます。
生徒さんと自分のカラダを信じる
今生徒さんができることは、
生徒さんの身体の状態、動ける範囲があり、
必要な補正もその評価によって内容が変わってきますが、
こころにおいておくといいのは、
「できていない」という今の状態だけで、その人を評価しない、
ということです。
人間は死ぬまで変化し続け、学習し続ける存在です。
今できないアーサナがあったとしても、
どういう動きならできるか、
生徒さんと一緒に時には探究してみることも
自信をつけるためには大切です。
アーサナが、ちょっとした力の使い方で改善することを知ることは
、その人にとって大きな自信につながります。
ぜひ、生徒さんと一緒にアーサナを探究してくださいね♪
「無駄が力がぬけて、楽になる介護術」石井ゆりこ(アレクサンダー・テクニークの先生)を参考図書としてあげさせていただきます。